2013年に発売・取り扱ったCDの中からアオラ・コーポレーションのスタッフが選んだ
私的おすすめ(ベスト)を紹介。
今年も素晴らしい音楽が盛り沢山の1年だった。悔しいのはそれを全部紹介できないこと。

番外に最高に素晴らしい
岸のりこの「恋の12の料理法」を入れたのは自分のレーベルで制作した物だからだ。どうも「自分の子供をほめる親バカ」的な態度が苦手なので、と言いつつ「最高に素晴らしい」とは言うのだけれど(笑)。

まずは、古い作品で発売もだいぶ前なのだが、私たちは
ホルヘ・ネグレテのような人を忘れてはいけない。歌に映画に活躍して風のように去って行ったこれ以上はないほどのハンサムなラテン男。ランチェーラは心の音楽。

8月に再来日を果たした
マリアナ・バラフの「サングレ・ブエナ」。よく「最低の野郎でも最高の音楽を作りだせればよい」という人がいるけれど、マリアナはそのパチャママのような暖かい人柄がすべて音楽に出ている希有な人。それでいて、よく練られた作品はけして素朴なものではなく、非常にスタイリッシュなものだ。
ディエゴ・エル・シガーラは越境するカンタオール。ただ単に南米テイストを入れた作品を作るのではなく、全てを取り入れてから音楽の持つ力に自らをゆだねる。
「トゥクマンの月のロマンセ」はそんな作品。
ケパ・フンケラの新作がガリシアだという情報はだいぶ前に聞いたのだが、こんなにすごいものが出来るとは!もともとバスクとガリシアは親和性があると思っていたが、ここまで見事にやってのけられるとひたすら「ブラボー」と繰り返すだけだ。北部スペインの底力が爆発する「ガリーサ」は必聴です!

そして、
「フラメンコがミゲル・エルナンデスを歌う - 自由のために」と題された素晴らしいコンピレーション。
詩人ミゲル・エルナンデスはスペイン内戦時に獄中で病死した。フェデリコ・ガルシア・ロルカの例を挙げるまでもなく、かつてのスペインでは多くの芸術家、知識人が独裁政権の犠牲になった。この作品は単純に、ミゲル・ポベーダ、エンリケ・モレンテ、ドゥケンデ、ピティンゴ、カマロン・デ・ラ・イスラ、カルメン・リナーレス、カルモナ、アルカンヘル、アルマリア、ホセ・エンリケ・モレンテ、ルシア・イスキエルドといったフラメンコの当代のスター達が歌っているアルバムとして聞いてもいいのだが、政治が言論や表現を弾圧することを絶対に許さないという決意を込めて作られた作品なので、その辺を頭に入れて聞いてほしい。今、まさに変わりつつあるこの国で。